しろばんば 〔第801回〕

 『その頃、と言っても大正 四、五 年のことで、いまから四十数年前のことだが、夕方になると、決まって村の子どもたちは口々に ゛ しろばんば、しろばんば ゛と叫びながら、家の前の街道をあっちに走ったり、こっちに走ったりしながら、夕闇のたちこめ始めた空間を綿屑でも舞っているように浮遊している白い小さい生きものを追いかけて遊んだ。・・・しろばんばというのは ゛ しろい老婆 ゛ということなのであろう。・・・夕方になると、その白い虫がどこからともなく現れて来ることを、さして不審にも思っていなかった。夕方が来るからしろばんばが出て来るのか、しろばんばが現れて来るので夕方になるのか、・・・しろばんばは、真っ白というより、ごく微かだが青味を帯んでいた。・・・洪作はいつも一番遅くまで遊んでいた。洪作のところは夕食が遅く、洪作の遊んでいるところへ夕食を報せにおぬい婆さんがやって来るようなことはめったになかった。・・・』。

 井上 靖 著 「しろばんば」 の書き出しであるが、この作品は昭和 37 年 10 月、中央公論社より刊行され、その後、文庫本で平成 21 年の 88 刷まで増刷されていますが、先日読了しました。
 井上 靖の自伝小説で、5 才から旧制中学受験まで、軍医であった父の勤務地から離れて、伊豆は湯ヶ島に住み、前出のおぬい婆さんに育てられた。母の八重に捨てられたのか? 母の愛情知らない育ち方をした不安定な心理。洪作の目を通した老女の心と姿。この時代の日本社会特有の人物が描かれている。文庫本で 579 ページ、相当読みでのある小説ですが、ぜひ読んでほしい名作です。

 先日、映画 「わが母の記」 を、湘南テラスの映画館で鑑賞しました。近年、老いた母親を演じたら、この女優をおいて、ほかにはいまい。その人は樹木希林。井上靖の自伝を映画化したのです。記憶を失っていく母親役を好演しているのが樹木希林。洪作の母、八重役です。『洪作は幼い頃、家族から離されて、曽祖父の愛人 〔おぬい婆さん〕 に育てられた時期がある。』・・・東京都内の井上の自宅を使った撮影は、『普通のセットに座るのとは随分違う。人が使っていたっていうのはこういうものか。私の演技も家に助けられた。』  樹木希林の新聞に掲載された談話。・・・誰にでも自分を産んでくれた母親がある。・・・人間の記憶・・・人間の感触・・・生々しさが鮮明に伝わってくる深い感銘がラスト。ぜひ鑑賞してほしい作品です。

 今年の2月19日、コラム 〔第782回〕 ・ 「養之如春」 で、伊豆・湯ヶ島に立ち寄り 「伊豆近代文学博物館」 を見学したこと、展示の主役は井上靖であったことを書きました。 2 月から 5 月までの間、井上靖を文学博物館で詳しく知り、自伝小説を読み、自伝映画を鑑賞したわけです。故人でありますが、文化勲章を受章した偉大な作家に触れ、感動の余韻が続いた 4 ケ月でした。

*5月19日 ・ 午後 3 時、鎌倉市材木座に緑に囲まれた土地が約 500 坪ほどに、ゆとりある木造個人住宅がありました。持ち主が社会的に有意義な使い方をしてほしいと、社会福祉法人・鎌倉静養館 〔日本基督教団経営〕 に話が有り、改修して 「小規模多機能型居宅介護事業所」 として再生することに日比野設計がお手伝いし、「材木座あじさいの家」 として出発することになりました。ここを視察。

*午後 4 時、東日本大震災復興支援 ・ 「鎌倉静養館 クラシックコンサート」 が日本基督教団鎌倉教会の礼拝堂でありました。150人ほどで満席の礼拝堂に、パイプオルガン、ソプラノ&ピアノ、弦楽四重奏で1時間30分、演奏者が8mぐらいのところで熱演奏ですから、迫力充分で感動しました。

江ノ島 ・ 腰越海岸、鎌倉海岸などは初夏の陽気で、色とりどりのヨットの帆、サーファーたちが風と波を楽しんでいました。

ありがとうございました。


君子と小人 〔第800回〕

 私のコラムも 〔第800回〕 です。前回のコラムで 「継続は力」 について書きましから、自分が止めるわけにはいかないわけで、もう少し続けてみます。
 学生時代のことですが、恩師が、建築家に成る為に最も大切なことは何か・・・。と学生達に問われました。学生達は思い思いのことを答えましたが、決して間違っているとは否定せず、「うん・うん」 と肯定してくれました。最後に恩師は 「それは感受性だ!」 と述べました。 「感受性を磨く! 感受性を豊かにする!」 私は現在まで50年忘れることなく、折に触れて故人である恩師に思いを寄せています。
  以来、政治、経済、歴史、文化、生活、旅行など、あらゆる人間社会の出来事に興味を持ち、敏感に受け止め、租借し、建築を構成する要素として役立てれば良いと思っています。これを折々のコラムに織り込んで書いています。

*産経新聞・2012-5-13 〔日〕 版、「The リーダー ・ 指導者はつくれるか」 の特集の中で、『松下政経塾出身の国会議員は38名、現在民主党では、首相、外相、国家公安委員長、政調会長と枢要なポストを占めています。だが、政経塾は 「単なる出世塾」 なのかと揶揄されてもいます。最近、本来の理念と趣旨を見失っているとも指摘されています。』  と記事は書いています。

 松下さんは泣いているのではないか・・・。パナソニックが7000億円の赤字を3月期に出した話ではありません。企業のパナソニックは今期から蘇ると私は信じています。
 松下さんが泣いているのは政治の話です。増税 ・ 財政赤字 ・ デフレ社会 ・ 外交 ・ 年金 ・ 医療など、国民生活不安定を解決することが急がれているのに、政党間の足の引っ張り合いばかり・・・混迷する政治。
 
*松下幸之助さんは政経塾創設時85歳、未来の日本のために私財70億円を投じて政経塾を創設したのです。 『初期の松下さんは塾生の話を 「そうか・そうか」 と良く聞いてくれたと、卒塾生の弁。入塾試験の面接には 「無言でじーと私をにらんでいるので恐ろしかった」 。 後で顔に愛嬌があるか、運は強そうかをみていたとのことを知りました』 なるほど。

*たくさんすばらしい語録を残していますし、今でも出版書は良く売れているようです。私の好きな一節は、『政治家になるには政策の勉強よりも、人間の研究が先だ』 といつも言っていたというところです。

*これはどの専門職にも置き換えて通用します。私は 『建築家に成るには技術 ・ デザインの前に、人間の研究が先だ』 と置き換えています。これを若者達の指針にしてほしいと願っています。

*論語一題
『子曰く、君子は義に諭り〔さとり〕、小人は利に諭る』 
通釈 : 先生が言われた。 「君子はいかにして正義を行うかを考え、小人はいかにして利益を得るかを考える」。
通釈の補足・・・「論語」 には君子と小人を比べて説明する章が多く出てきます。とにかく、君子は世間や人間にプラスかどうかを考える人。徳の人。 小人とはつまらない人、自分が得することばかり発想する人。才の人。・・・渡部昇一著 「論語活学」 致知出版社刊より

*建築家こそ君子でありたいし、徳の人であってほしいと願っています。

ありがとうございました。


継続は力 〔第799回〕

 表題のこと、昔から言われていることであり、誰でも知っていることです。勉強でも、スポーツでも、ダイエットに挑戦、禁煙に挑戦など、さらに仕事でコツコツ力を付けるなど大変大切なことですが、私を含めて多くの人々は実際のところ、「言うは易し、行い難し」 ではないでしょうか。 今日は野球好きの私が、表題にふさわしい感動の人物を取り上げてみます。〔一部は読売新聞 ・ 産経新聞の記事より〕

*日本ハムの稲葉篤紀選手〔39〕は、4月28日のKスタ宮城で行われた楽天戦の一回、ヒメネスから右前適時打を放ち、プロ野球史上39人目の通算2000本安打を達成しました。プロ18年目、1976試合目での達成となりました。これはスゴイことなのです。
 : 日本ハム ・ 栗山監督 『あと一本になって、「バントのサインもしっかり出してくださいね」 と言ってくれた。彼の生き様だよね』。 : 若松勉 ・ 元ヤクルト監督 『入団した1995年当時は体も細く、内角球を苦手にしていた。しかし、今や内角球打ちは球界屈指。たゆまぬ努力のたまものでしょう』。 : 梨田昌孝 ・ 前日本ハム監督 『打順が何番であろうが対応できる打者であり、チームを引っ張るという意味でも2000本以上の貢献度、存在価値がある』。 : ヤクルト ・ 宮本慎也選手 『とにかく、おめでとう。自分のことのようにうれしい。僕もすぐに続きます』

*さて、このヤクルトの宮本慎也選手 〔41〕 も、5月4日の広島戦で、二回に福井から中前打を放ち稲葉選手に続いて、プロ野球史上40人目の2000本安打を達成したのです。稲葉選手と宮本選手は1995年にヤクルトに同期入団で、仲良しであり、切磋琢磨したライバルでもあったのです。宮本選手は稲葉選手よりも3歳年上なのは、大学から社会人を経由したからで、最年長と時間はかかっていますが、これも考えてみればプロ野球選手としては、スゴイことだと私は思います。
 : ヤクルト ・ 小川監督 『制約を受ける打順を打ちながら、2000本は素晴らしい。入団時担当スカウトだったが、たまたま、縁です』。 : 巨人 ・ 原監督 『野球への真摯な姿勢や野球の奥深さを感じさせてくれる本物のプロのプレーヤー。2000本を一つの通過点としてさらに戦っていくことでしょう。手ごわい相手です』。 : 野村克也 ・ 元ヤクルト監督 『チームが勝つことを最優先に、自己犠牲の打撃を続けてきた宮本が、安打で記録を残したことを心から称えたい。神宮の室内練習場で毎日バットを振っていた。本人の努力のたまものだ』。   :スタンドで観戦した宮本の父、義行さん 〔61〕 『小さい小さいと言われ、PLに入れただけでもスゴイと思っていたのに、プロに入り、まさかまさかの18年。2000本なんて夢のまた夢だった』

*今年はプロ野球史上78年目の年、39人目と40人目の2000本安打達成者が誕生したわけですが、これまで 「心・技・体」 に自信のある選手が、プロ野球に身をおいて挑戦した何万という選手の中では、まったく一握りの選手だけの栄光です。「継続を力」 にしてきた二人です。
 大卒で39歳、大卒社会人経由で41歳で現役です。毎年、高卒で18歳、大卒で22歳で、元気で最も優秀な選手がドラフトされてくるのです。監督やコーチはチームと自分の名誉と生活をかけて勝利を目指します。義理で年長者を試合に出すことはありません。競争社会で評価され評判どうり活躍するのですから脱帽です。

*「継続は力なり」 とはこのことで、ジャンルは違っても学ぶことがあり、それは習うことです。PL時代の恩師である中村順司氏は、『みんなよく練習していたからね。その中で切磋琢磨して成長した。同時に、宮本は早くから一流選手の背中を追いかけ自然と練習の大切さを学んだ。そして大いに練習した』 と証言しています。

*考えてみれば、一線を退いた私から少しばかり褒めてやりたい事があります。日比野設計も創業から41年目を歩んでいますが、在籍30年以上が数人、25年、20年、15年がそれぞれ数人いて、 「建築づくりと人づくり」 に日夜努力しています。さらにベテラン達は経営の視点からも常に目配り、気配りしています。そして建築を通じてお客様に奉仕し、社会貢献しています。これをコツコツ続けているのです。ここにも 「継続は力なり」 があることを報告します。

ありがとうございました。


不向きな職に就く不幸 〔第798回〕

 昨日 〔子どもの日〕 と 今日 〔6日〕 は、すっかり初夏の陽気です。しかし、大型連休の中盤、5月2、3、4 日は天候不良で散々でした。年に数回のゴルフを 2 日に予約していました。雨で中止するか大変迷いましたが、朝は霧雨、どこまでもつかとにかくスタートしました。北海道や外国のゴルフ場は 18 ホールスルーでプレイしますが、関東ではめずらしく、昼食を後回しにして18ホールスルーでプレイしました。昼過ぎからさすがに雨脚も少々強くなりましたが、午後 2 時には 1 ラウンドできました。こんな天候ですから、プレイは 5 組ぐらい、大半はキャンセルのようで、ゴルフ場の経営に同情します。

*4月29 日未明、群馬県藤岡市の関越自動車道で乗客 7 名が死亡するツアーバスの事故がありました。バス運転士の居眠り運転のようですが、乗客らは、「かなり疲れていたようだ」 と話しています。「運転士の休息は十分だったのか」・・・その後、バスの運転士は逮捕され、調べが進むにつれ、色々な問題点が指摘されています。 とにかく、ツアーバスの業界は、ツアーを企画する会社とバスを運行する中小の運行バス会社の値引き競争が激しく大変なようです。今回の料金も一席 3500 円と、金沢--東京間を在来線と上越新幹線で乗り継いだ場合の指定席料金 1万3千 円と比べれば格安です。安いのは悪いことではないけれど、安全を犠牲にした運行では乗客はたまりません。調べでは、運転士二人体制が一人であった。責任ある安全運行教育を徹底した社員運転士ではなく、仕事のある時だけ声をかける日雇い運転士であったなど、やはり問題です。 同時に、高速道路の整備にも問題がありそうです。バスが衝突した防音壁とその前に設置されていたガードレールの間に20〜30cmの隙間があったとのこと、この隙間にバスがはまり込むように衝突、防音壁がバスを縦切りにしたようになりました。隙間がなければ、横滑りとなりバスは破損したけれど、死亡者は無かったかもしれません。まさかこんな事故が起きるとは・・・新しい高速道にはこういう箇所は無いようで、これら古い高速道には改修計画があったのかも知れません。残念です。

*さて、産経新聞に、オピニオン ・ 曽野綾子の 「透明な歳月の光」 という連載があり、いつも楽しく読んでいます。この作家は年齢も 80 歳に近く、カトリックの信者で大変保守的ですが、人間の機微を良く承知していて、歯に衣着せぬ表現に私はいつも感心しています。私の好きな作家の一人です。 さて、この事故の直前4月25日付けの連載で、「不向きな職に就く不幸」 という一文がありました。政治家、特に大臣などの役職に向く人向かない人などの続きに、『大臣も人情豊かな人であるけれど、しかしあることについて基本的なセンスがなかったり、愚かな人が一国の政治の中枢にいられたりすると、国家の運命を危うくするからそれは大きな罪だ。』・・・続いて、すこし話を拡大して、『少々跳ね上がりでも、粗忽でも、思い込みが激しくても、別にかまわない職業というものが世間にはいくらでもある。小売業、農業、芸術家、宗教家、芸能人、すべてがそういう人でもやっていい職業である。しかし、医師、土木技術者、教師、電車やバスの運転士などになると、粗忽という性格的特徴は避けたほうがいい。粗忽でものごとに反応の鈍い人が、飛行機の位置を見張る航空管制官などになったら人の命にかかわる。』・・・『つくづく人は自分に合った職業に就くべきだ、と思う。』

*私は賛同したのでこの文章を切り抜いておいたのです。事故の直前の文章ですが、ずばり言い当てているわけです。バスの運転免許は試験を受けて、概ね誰でも取得できますが、人々の命を預かる職業として、曽野綾子流の論理に一理があると思います。本人の性格による向き不向きや自己分析、職場の適性試験などにより、「不向きな職に就く不幸」 についてより深く見極める社会制度が必要と思います。

*文中で曽野綾子さんは、土木技術者も粗忽な者は就かない方が良いと言っているわけですが、曽野綾子さんの指摘は建築技術者も同じだという解釈で良いと思います。直接か間接に関係なく、人の命につながる職業は、「沈着冷静」 で責任感の強い人が適任だと考えます。さらに、前回にも書きましたが、私のコラム 〔第780回〕 「五つの ゛自゛」 で、「自主判断 ・ 自助努力 ・ 自己責任 ・ 自立 ・ 自律」 に磨きをかけられる人が建築技術者に向いています。・・・さあ、明日から 「好きな仕事」 ができる・・・幸せです。

ありがとうございました。


歴史創新 〔第797回〕

 新聞を読んでいたら、ある先達が下記のように言っていました。先達曰く、『私は次代を担う若い人達には、「川を遡れ〔さかのぼれ〕、海は渡れ」 と言い続けている。・・・「歴史を学び、世界を見ろ」 と言う意味ですよ。』・・・私も常々言っている 「歴史に学べ」 「世間を広く見よ」 と意味は同義語で、新聞などで、先達が言ってくれると説得力がありますし、目標が共通であることに感動します。
 
 さて、書くことに窮したから月刊誌 「致知」 のバックナンバーに頼るわけではないのですが、古いものの中に良いものが多く有るのは事実です。人間社会では何十年前であっても、その時代の先達の語録は色あせていません。
 「川を遡れとか、歴史に学べ」 とはそういうことです。「致知」 の 9 年前、2003 年 6 月号に、特集 「歴史創新」 がありました。編集長のコラムは秀逸で、新入社員の激励に要点を書いてみます。

 『時代の古今、洋の東西、分野の差異を問わず、新しい歴史を切り開いた人たちがいる。それらの人たちに共通する条件を一つだけ挙げれば、こう言えるのではないか。困難から逃げなかった人たち、困難をくぐり抜けてきた人たち・・・だと。』

 『新しい時代に適った夢と志を実現する。「歴史創新」 とはこのことである。そして、夢と志を実現しょうとする者に、天は課題として困難を与え、試すのではないか。
 松下幸之助の言葉が聞こえる。
「百遍倒れたら百遍立ち上がれ。万策尽きたと言うな。策は必ずある」 困難から決して逃げない・・・私達の歴史もそこから開けてくるのだと肝に銘じたいものである。』

*先日のTVニュースで、昨年も一昨年も大卒の就職難で、今年は少し改善されたとしても、就職できない学生が大勢いたわけです。そうした中で、せっかく就職した若者が 3 年以内に 30 %退社するとのデーターが紹介されていました。『会社は新人をほったらかしにしているわけではない。また、会社は手に手をとって仕事を教えるわけではない。指示の範囲や指示を超えて仕事をする。解らなければ先輩に聞く、納得するまで基礎を理解する。など、色々あるけれど、せっかく採用した人材が育つ前に退社とは、会社も不利益だし、若者も不幸である。』・・・人事担当者の弁。
 そこである会社は新人に声かけ運動とか、新人を集め飲み会や食事会を定期的に開催し、コミュニケーションを積極的に図っているとのこと。TVではある新人の側面ですが、職場の片隅で 「お母さんに電話し・・・俺は何をしたら良いのか解らない・・・淋しい・・・などの話をしているのです。」・・・勿論これは極端な一例だと思いますが、それでも、これどこか、やっぱり私は変だと思います。

 私のコラム 〔第780回〕 「五つの ゛自゛」 で、「自主判断 ・ 自助努力 ・ 自己責任 ・ 自立 ・ 自律」 を書きました。その後ジャンルは違いますが、テニスの錦織さん、バレエの菅井さん、スキージャンプの高梨さんのことを、ものすごい頑張りであることを感動で書きました。またその後のニュースでも、スケートの高橋さん、サッカーの香川さん、ゴルフの石川さん、藍さんなど、20 歳代の単身で、世界の中ですばらしい成績を残していることが伝えられています。去る 3 月の選抜高校野球の開会式では、石巻工業高の阿部主将の見事な宣誓など、日本にも見事な若者が育ってきていると感心しているのです。
 
*どちらの会社に入社した新人さんにも共通して言いたいのです。上記のような超のつく活躍を目指せとは言いません。今、与えられた環境で我慢に我慢です。「石の上にも三年」 「桃栗三年、柿八年」 と言う先達の教えが有ります。あなた達のご両親や祖父母の時代も同じであったことを 「歴史が教えてくれています」 我慢の次に面白くて充実した生活、そして豊かな人生が待っています。 困難から逃げない・・・やり抜きましょう。

ありがとうございました。


神代桜 〔第796回〕

*4月19日・午前8時、山梨県笛吹市内、時季的に水量の少ない笛吹川ですが、朝の陽光がキラリ! 穏やかな春を伝えてくれている・・・ホテルの窓からの眺望です。川の向こうには何haあるだろうか、濃いピンク色の桃の花が一面です。 美しい!

*午前10時、 「石和第五保育所」 現場と周辺を視察しました。JR石和温泉駅前に建設する 「石和第五保育所」 は、一昨年の設計者選定プロポーザルに選ばれてから、色々な経過により市の方向が決まるまで少し間があきましたが、ようやく実施設計も完了し、その後、入札により担当工務店も決まり着工の運びと成りました。基礎工事から床下の盤となる土間コンクリートの打設も終了し、これから建て方が始まります。8月末完成を目指すわけですが、品質の高い施工を期待します。 今後はJR駅舎の建て替えが計画されているようですし、既存保育所の解体など、駅周辺はガラリと変貌することになり、これからが楽しみです。

*午前11時、ついでの見学などでは失礼なことですが、「昇仙峡」 には一度は訪れたいと思っていまして足を延ばしました。話には聞いてはいましたが、「聞きしに勝る」 渓谷です。さすが日本観光地百選、渓谷の部第一位とか、平成百景では富士山に次いで第二位とか・・・。さすがに 「一見は百聞に勝る」 です。長潭橋 〔ながとろはし〕 から仙娥滝 〔せんがたき〕 まで約5km、覚円峰 〔かくえんほう〕 などの絶壁と川の巨大な奇岩など、まさに絶景を楽しみながら約1時間ほど歩きました。

*午後13時、元旦ビューティ工業白州技術センターへの訪問は、20年温めてきたのですがやっと実現しました。私は 「有事に備える」 として、地震対策には軽量な金属屋根が良いとする考えですし、台風や豪雨などには勾配屋根を金属で葺くのが良いとして、これらを常々実践してきました。すでに当社としても多くの事例を持っています。ここの技術センターでは太陽熱パネルと勾配屋根の一体型や、太陽熱パネルを少し浮かし、反射光からも発電するなど、雨と太陽熱、寒暖の差など様々な実験を広い用地で実施しているのです。確かに、屋根やトップライト、屋上緑化など屋外に様々な架構の上で厳しい曝露試験で確認した製品なら安心です。ここでも 「一見は百聞に勝る」 ことを知りました。技術センターでは今年入社の若者が、鋏を持って金属を切る研修をしていました。施工部に配属されるのではない営業などの社員でも、会社の製品と技術の基本を体験で知るのは良いことです。

*午後15時30分、白州技術センターは北杜市に所在しますが、北杜市は平成16年に、旧長坂町・高根町・須玉町・白州町・大泉村・武川村・明野村の7町村が大合併して誕生したのです。さて、20分ほど車で移動した武川町山高地区に歴史のある 「実相寺」 があり、境内の桜が今が満開とのこと、神奈川ではすでに散ったわけで、また満開が楽しめるのは幸運とばかり出かけました。実に美しい境内で、何十本かの色々な桜の樹種も全て満開です。地は水仙や菜の花などの花畑が広がり、この世にこれほど美しい自然があるものだと驚きと感動でした。寺の本堂の側に、樹齢2000年ともいわれる桜の古木が見事に花を咲かせているのです。この 「山高神代桜」 は1922年に桜として初めて国指定の天然記念物になったとのこと、すごい! 大好きな桜花に酔い、日は暮れていく花宵にまた感動でした。
 今年2月に出かけた伊豆の河津桜の見学は、つぼみの段階で気が早すぎたと笑い話になりましたが、4月19日において、山梨で桜の満開を楽しみ、樹齢2000年の 「神代桜」 まで見学できました。桃の花から水仙、菜の花、そして桜の花まで、花々満開を楽しんだ一日で、今後も幸運が続きそうです。

*新入社員を歓迎する夕食会が 4月3日 の春嵐により流れたのですが、4月20日 〔金〕、新役員就任祝いと併せて、海老名のホテル・オークラのレストランで楽しく開催できました。新入社員には、急がず、基本を学び、習い、時間をかけて成長してくれればと楽しみにしています。新役員には先日のコラムでも書きましたが、「ものづくり と ひとづくり」、言わば、自らも建築を創作し、同時に後輩の指導もお願いしたいのです。複合した役割を担ってほしいと、大いに期待しています。

ありがとうございました。


三方よし (第795回)

 4月16日の朝会議で、「三方よし」 の話をしました。法人格を取得し保育所を建設して10周年の記念式典〔4月14日〔土〕〕が盛大に楽しく挙行され、ここで配布された記念誌を読んでのことです。
 横浜市戸塚地方のこと、33年前にさかのぼる話ですが、働く女性が出産後も継続して働くために子どもを預けられる保育所が必要と考えても、普通はそれで終わってしまうわけですが、理事長の上山福恵子先生は頑張りました。マンションの一室で無認可なれど保育を始めたのです。代々の保護者と保育士の輪と和を広げながら続けたのです。正に 「継続は力」 なりで、やがて土地を無償無料で60年貸してくれる 「宗教法人親縁寺」 さんが現れるのです。保育の仕事で信用を積み重ねたからです。そこから社会福祉法人 「ももの会」 の設立と新園舎の建設が始まりました。さらに実績ができると、横浜市の 「民間保育所整備用地貸付申請」 にも応募し承認されるし、三つ目は市立保育所の民間移管にも応募し承認されました。これらの老朽園舎の建て替えも決定し、平成25年4月開園予定です。さらに、地域の要請に応えて四園目が準備中です。
 
 ここまで書けば、歩みの歴史を知らない人は、「夢の様なとか、ものすごい資金力」 があったなどと思うかもしれませんが、実際は上山理事長先生の苦労に苦労を重ねた情熱と行動で、これが多くの応援者を動かし、浄財が集まったのです。多くの方々から信頼されることがベースになって、四つの園で250名を超える幼児を保育し、官民の期待を担うことに成ったのです。すごい! 法人設立10周年 ・ おめでとうございます。

*「三方よし」 とは、近江商人の300年生き続けている経営理念の話です。近江とは滋賀県の琵琶湖周辺のことで、この地方の商人の商売の進め方、言わば遠隔地商法、分かりやすく言えば行商です。行商に出かけて行って商売するには、その地で信用を積み重ねないと誰も物を買ってくれません。売りっぱなしでは信用されません。定期的にその地を巡回するわけで、良い品を適正価格で販売し、アフターケアーも充分に行ない、これを長く継続するところに信用が生まれるのです。買い手が、この品物を買って良かった、売り手も少しは適性な利益が貯まれば、地域貢献 (寄附や納税) する。これが 「売り手よし ・ 買い手よし ・ 世間よし」 の 「三方よし」 と言う近江商人の経営理念です。

*上山先生の福祉 ・ 保育活動は商業ではありませんが、これに置き換えることができます。
「売 り手よし」 : 保育事業に情熱を持ち、保育士共々働く喜びを共有している。  「買い手よし」 :  保護者は安全で充実した保育園に子どもを預け、安心して共働きができる。何より子どもが活き活きしている。  「世間よし」 : 共働き社会が定着すれば、ご夫婦が子どもを産み育てやすくなり、安心して第二子、第三子となる。・・・少子化に歯止めをかけられるなど、大きな社会貢献です。

*さて、私も創業時代から設計監理こそ、「三方よし」 であるべきだと考え実践してきました。私の置き換えは、「頼んでよし ・ 創ってよし ・ 使ってよし」 です。
「頼んでよし」 : 事業主 ・ 建築主は日比野設計に頼んで良い建築が完成してよかった。 「創ってよし」 : 日比野設計として受注させていただき、設計監理に取り組んでよかった。担当者も懸命に創作に情熱を持つことが出来てよかった。 「使ってよし」 : 子ども達やお年寄りが明るく楽しく快適に使ってくれているし、働く職員が使いやすくてよいと言ってくれている。・・・こういう三つの視点が常にバランスよく、それぞれ満足する関係を今後も継続したいと考えています。

*相模原市中央区淵野辺地区に建設中の「淵野辺保育園」は、免震装置を設計に織り込んだ保育園で、4月14日〔土〕、社員と社友の総勢35名が視察しました。あいにく小雨降る中での視察でしたが、日本のトップレベルの建設業者の精度の高い仕事を確認することができました。それにしましても、法人の理事長はじめ経営陣の決断は立派です。万一の大きな災害には子ども達の命を守るのは当然ですが、地域の安全な避難所になると位置づけるなど、大きな心意気には脱帽です。
 全国的にも先駆けの免震保育園で、完成が楽しみです。

ありがとうございました。


神の遺言 〔第794回〕

 4 月13 日 ・ 午前 7 時 38 分 頃、北朝鮮によるミサイル 〔北朝鮮は人工衛星と言ってましたが〕 の発射が失敗に終わり、日本人の一人として安堵しています。失敗するのでは・・・と私は思っていましたが、同じ失敗でも軌道の失敗により沖縄あたりに落下したりするとこれはまた大変でしたが、軌道に乗る前に空中爆発で、これは無残なことです。金正恩氏の第一書記就任の祝砲の予定が、空中爆発ですから面目なしと言うところでしょうが、約700億円も投じてのこと、国民は 「食うや食わず」 の食糧危機、これだけの費用があれば、1500万人に食糧を配れた? わけで、国民は泣いていると思います。産経新聞 「産経抄」 の中で 『憎まれっ子世にはばかる』。 北朝鮮の振る舞いを表現するのに、これほどふさわしいことわざはあるまい。と書いていましたが、なるほどそういうところかと私も思います。私は個人のことでも、法人のことでも、他国のことでも、失敗を笑う者ではありませんが、各国の中止要請を無視して、人工衛星と偽ってのミサイル発射失敗はこれで良かったと思います。それでも、次は核実験を準備しているとのこと、やっかいなことです。

*先日、書店で 「スティーブ ・ ジョブス ・ 神の遺言」 桑原晃弥著を一冊購入して読みました。すごい!まさにすごい人だった! 「Mac / iPod / iPhone / iPad」 の開発者です。
 成功と言うのは大なり小なり、分野も色々ありますが、ジョブズさんの意識と挑戦には脱帽です。私も 「iPad」 で楽しんでいますが、世界中の老若男女が楽しく使っているのですから、開発したジョブスさんとは、どんな人間だったのか知りたくなるのは私ばかりではないと思います。
 私は社員達に一冊購入して読んでほしいと要望しましたが、決して、全て真似てほしいのではなく、その意識を学んで活かしてほしいのです。私も賛同する驚きの語録、「神の遺言」 を幾つか書いてみます。

*『心の底から思い込め。でなければやり遂げるかいがない。』 : 仕事をとことん 「好きだ」 と心の底から思い込め。金銭に変わるモチベーションが、「好きだ」 という信念である。それは自己実現欲求と言い換えることができる。・・・どんな職業でもそうです。建築設計に携わる者の上達は、 「好きだ」 から始まるのです。

*『我慢することだ。』 : ジョブズは、好きであることは全てを耐える原動力になるからだ。さらに成功者と敗北者の分岐点は、「我慢することができるかどうか」 と言っています。・・・私も建築設計の若者達に我慢することだと言い続けています。我慢することは世界中の人間に共通です。

*『アップルは、うずうずしている人間を雇うのだ。』 : アップルは、世界で一番いいものをつくりたくて、うずうずしている人間を雇うのだ。アップルを見てもらえれば、働きぶりに卒倒すると思う。夜は勿論、週末も働き詰めで、しばらくは家族の顔も満足に見ることができない。・・・どこの会社も納期が迫ってくるとこんな働き方はあると思いますが、私はここまでやらなくても、土、日、祭日は休んで、休み明けからまた集中して頑張ることで良いと考えています。それでも、今年の年度末は何ケ所かの現場では一月から土、日、返上で頑張った工務店がありましたが、設計監理者もお付き合いになり、大変な働きに感動しました。私も人の採用は 「やる気」 を一番重視します。

*『今日は素敵なことができたと思いながら眠りにつくこと。それが一番だ。』 : 「自分の時間とエネルギーの150%」を会社につぎ込んだ。そのあとは素敵なことができたと思いながら眠る、僕にとってはそれが一番だ。・・・確かに、私達も建築、建築、建築と思いを込めてお客様の要望に応える、いやお客様の予想を超えた仕事をする、そのあとはそういう眠りの時があります。

*まだまだジョブズさんの語録、「神の遺言」 はありますが、これぐらいにしておきます。猛烈なことは、気力、体力など色々と個人差がありますから、個々のペースで意識を充実させれば良いのです。それがジョブズさんからの学びです。強烈な自負と自信、知恵を出して猛烈に働く中から生まれた、「世界を変え、人の人生に影響を与えた語録」 と、その作品が、「Mac / iPod / iPhone / iPad」 です。 すごい!

ありがとうございました。


春の嵐 〔第793回〕

 前回のコラムでも書きました 4 月 3 日の春嵐ですが、私の仕事場の厚木地方は午後 3 時過ぎまでさほどでもなかったので、藤沢に帰り車を置き、横浜での新入社員歓迎会に向かおうと湘南台駅に出たのですが、午後 5時の藤沢地方はすでに暴風雨で、横浜市営地下鉄が途中地上に出るあたりが不通とのこと、横浜中華街での予約を急遽中止としました。翌日の新聞各紙は列島直撃となったこと、各地でトラックの転倒があったり、交通マヒや帰宅混乱など、亡くなられた方々もいて色々な被害が出たことを伝えていました。それでも、昨年の災害の学習が少しは活かされたのか、企業の帰宅作戦に工夫があったと伝わっていますが・・・。
ようやく、東京や神奈川は桜が満開とのこと、週末は楽しみたいものです。

*選抜高校野球はこうした 3 日の悪天候のため、26 年ぶりに順延となった決勝は 4 日に行われ、大阪桐蔭 〔大阪〕 が光星学院 〔青森〕 に 7 - 3 で快勝し選抜初優勝を果たしました。この大会の入場式における選手宣誓については、コラム 〔第790回〕 でその感動を書いておきました。準優勝の光星学院は東北初の悲願達成を背負って戦いましたが、成らなかったのは残念でした。雪国では練習にハンディキャツプが特に選抜ではありますが、東北パワーは見事でした。私の注目選手は、5 試合連投した大阪桐蔭のエース藤波晋太郎投手 〔17〕 です。身長 197 cmからの 150 キロの超豪速球はすごい! プロスカウトの評価もうなぎのぼりとか、「なにわのダルビッシュ」 の異名があるとのこと、私もTV観戦ですが、この選手は上手く育てばプロ 15 勝投手ですし、その先もあると思います。4、5年先まで追っかけです。

*先週末に映画 「マーガレット ・ サッチャー 鉄の女の涙」 を観賞しました。 
  産経新聞では 4 月 2 日から 「The リーダー サッチャーのいない国」 という特集をここまで 5 回 シリーズで掲載していまして、いかにもこの映画の後押しのようですが、関係はないようです。産経新聞では、政治 ・ 経済の分野で活躍する内外の女性達を分析しているのですが、さて、サッチャーさんは 1975 年 2 月に英国の保守党 〔当時は野党〕 で、史上初の女性党首に選出され、4 年後に政権を取り欧米初の首相になるのです。35 年ぐらい前の報道は私もはっきり記憶しています。何より 30 年前の 1982 年 4 月のアルゼンチンとの紛争で、フォークランド諸島に侵攻した時の報道は連日すごいものでしたし、この映画でもクライマックスでした。決断と実行、何かを成し遂げようと夢見て行動した 「鉄の女」。 「世界を変えたのは、妻であり、母であり、ひとりの女性だった。」 これ以上書くことを控えます。多くの方々が一つの歴史を観賞し、色々と考えてほしい思います。

*上記の産経新聞の特集ですが、日本の女性達も政治 ・ 経済界にどんどん進出してほしいと書いています。女性議員の少なさも日本は際立って少ない。国会の女性議員の比率は 11.3% 。先進国中最低で、かっては日本の後塵を拝していた韓国 〔14.7%〕 にも追い抜かれた。日本初の防衛相を務めた小池百合子議員は 『日本社会で女性の比率がこれだけ低いことに卒倒します。閉塞状況の中で経済、社会的にも今の日本を打ち破るには、女性のパワーをフルに活用しないとダメ』 と力説しています。 別の調査では、昔からの家庭観も影響しているようで、内閣府男女共同参画局の調査によると、『妻は家にいるべきだ』 という考えに肯定的な男性は日本では約 5 割に上るが、米、独、韓国では 2 割台のようです。

*私も男女共同参画社会には賛成です。建築設計の分野、特に私達の事務所では 「幼児の城」 とか特別養護老人ホーム、障害者施設などに、女性の感性が活きていると私は見ています。私は創業時代から女性のデザイナーや技術者の養成に力を入れてきました。現在半数近くが女性で、女性役員も二名活躍しています。今後の活躍に大いに期待していますが、とにかく女性も男性も差別なく特徴を活かし、「心と力」 を合わせて協力し、仕事も家庭も支え合うことだと考えます。

ありがとうございました。


入社式 (第792回)

  神奈川地方でも今年は桜の開花が遅かったので、ようやく今週末の 8日 (日) 前後が満開のようです。今夜は台風並みの強風 (風速25m?) と雨による春嵐の天気予報ですが 〔午後 3 時過ぎの厚木地方はまだそれほどでもないのですが〕、例年のように、今、満開ならこの嵐で無残にも散ってしまうわけで、別の見方をすれば、桜の満開が遅れて良かった。厳しい春嵐も今日で良かったと言うわけです。
 
*4 月 2 日(月) は全国の会社関連では入社式であったと、新聞やTVニュースで新社会人の夢と抱負、経営陣の期待が伝わってきました。
 我が社も入社式で、午前 9 時から会議室で、厚木と横浜を通信で結び、3 名の新入社員 〔新しい仲間〕 を拍手で大歓迎しました。安藤社長の訓示の要点は、『技術力とデザイン力を磨くのは勿論であるが、その前に人間力を養ってほしい。』 とのこと、中々的を射た訓示で、私も大賛成です。

*これに先駆けて、午前 8 時から 門間直樹 と 佐々木真理 の両名を執行役員に登用する辞令が、安藤社長から交付されました。二人はこの数年、めざましい成長をとげました。これからの二人には建築家として、建築づくりと後輩たちの指導、言わば 「ものづくり と ひとづくり」 の二つを担ってもらいたいと、私も大いに期待しているところです。

*入社式の後、新入社員研修において、私は下記のように述べました。
『先人から、私達も 「桃栗三年、柿八年」 や 「石の上にも三年」 などを伝えられ教えられてきました。決して古い教えではありません。今でも未来でも新社会人に通用する共通の教えだと私は信じています。同時に、この教えは言葉は違っても、世界のどちらの国の先人も若者に伝えることだろうと私は思います。科学技術がどんなに進んだ時代であっても、若者が物事の基礎を習得するのには最低でもこれぐらいの道程が必要で、「石にカジリツイテ」 でも、社会の常識、技術やデザインの約束事などを身につけないと、その先へ進めないのです。月刊誌 「致知」 4 月号で、料理の鉄人が語るというページがありました。あの 道場六三郎 さんが、料理の道に入る19歳の頃、お父さんから 「石の上にも三年だ! 石にカジリツイテでも我慢しろ。決して音をあげるな」 と言われたようです。現在81歳ですから、62年も前の話ですが、本人もこれを守って良かったから、後輩たちに伝えたいとのことです。なるほど、職域の違いはあってもさすが鉄人の教えです。
 
  確かに 「最低三年やり抜くと、見えなかったものが見えてくる」 と、今活躍している方々がよく言うことです。それからは徐々に軌道に乗りますから、後は 「コツコツ」 やることで、一端の者になります。勿論、生涯の仕事にするわけですから、道はそんなに甘くは無いのですが、それでもやがて、面白く、楽しく、明るく、且つ苦労をしても、良質の建築を創れることになります。そこからがお客様に奉仕できることになりますし、やがて社会貢献できることになるのです。私はあなた達の成長を楽しみに待つことにします。
 
  お客様は眼力があります。軽薄な者か、寛容性と包容力を持った人間力の備わった実力派かを見抜いてくるでしょう。お客様は後者に担当してほしいのです。 これは一日にして成らず! 毎日の積み重ね! これこそ 「桃栗三年、柿八年」 の教えです。』

*新入社員の皆さんが働いて幸せな人生を歩むことと、先の二人の執行役員の活躍を祈ると同時に大いに期待します。

ありがとうございました。

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