徳義の ない・ある 経営 〔千の50〕
暑い日が続いていますが、明日から 8 月です。 多くの皆様に、「暑中お見舞い申し上げます」。
コラムの前に、一言お悔みを申し上げます。 弊社上席執行役員・伊佐地〔伊藤〕陽子のご尊父、伊佐地 邦治様が病気療養中のところ、大変残念でありますが、去る平成 27 年 7 月 13 日に逝去されました〔享年 72 歳〕。謹んでご冥福を祈ります。同時に、奥様はじめご家族の皆様の哀しみは、察するにあまりあります。葬儀はご近親者で密葬として行われました。
故 伊佐地 邦治様は、日本の合唱音楽界で指揮者であり編曲者として、また、長年指導者として活躍されてきました。後日、「偲ぶ会」を、指導してきた合唱団の企画で実行するとのことでした。
*平成 27 年 7 月 27 日〔月〕午後 7 時から、JR 市ヶ谷駅から徒歩 7 分、「ルーテル市ヶ谷センター 音楽ホール」において、『伊佐地 邦治さんを送る会』が、合唱関係者や友人など約 300 名ほどで厳かに執り行われました。弊社からも役員など 7 名が参会させていただきました。参会者全員の献花のあと、美しい花で飾られた遺影の前のステージには、故人が指導してきた合唱団が整列し、「翼をください」など 8 曲のハーモニーがホールに響きました。最後に奥様が挨拶に立ちました。「早く逝ったのは残念だけれど、音楽一筋に生きられて幸せだっただろうと、また、こんな美しい調べによって送られて感激した」と涙ながらに御挨拶されました。すばらしい送る会に私も感動でジーンときました。安らかにお眠りください。
*さて、表題のことですが、日本が世界に誇る大企業である東芝のことです。この一ヶ月、新聞やTVニュースなどで、すでにご存知の方々も多いと思います。問題はどこにも徳義が見当たらない不正経理の話です。
社歴は 100 年以上であり、明治時代から続く名門企業です。最近の三代に渡る社長が起こした会計不祥事は、大中小の企業において、どこにでもありそうですが、あってはならないことだと思います。名門企業であり上場企業であることは責任重大で、国民は許さないでしょうし、国民の意思を代弁して各メディアも厳しい論調が続きました。一昨日、現社長、会長である前社長、相談役である元社長の三人が辞任しました。他の役員も減給処分とのこと、大きな処分ですが、国民を欺き、世界中の投資家を騙したことは許されないことだと思います。最近アメリカの投資家が、市場から義務付けられた発表されている財務諸表に基づいて、可能性を信じて東芝株を購入したが、不正経理の発覚で株価が下落、大きな損害を被ったとのことで、損害賠償の訴訟を起こすとの報道もありました。
*今期は予想以上に大幅に売り上げや利益が出たので、これでは税金を沢山払わないといけない。来期もこんなに伸ばせるとは限らないので、なにがしかの売り上げの先送りや経費の先取りで、なんとか納税額を減額しようとする行為は、経済小説によくある脱税ストーリです。こんなことは小説やドラマでのことで、現実の経営者は襟を正して決算をまとめているのが事実だと思います。・・・東芝の三代の社長の手法はこの逆です。売り上げや利益が予想したようにあがらないので、部下たちにチャレンジと称して過大な目標や要求を押し付けてきたのです。押し付けられた部下たちが、「不適切」な会計操作を何年も続けてきたのです。誰もが「不正」の臭いを嗅ぎながら逆らえない。・・・「違うけど、社長が言うから、そうですね」・・サラリーマン川柳。
*利益を少なく見せる経理も、多く見せる経理も許されないのですが、過去においても、企業であれ役所であれ、組織に身を置いた人なら誰しも思い当たる苦くやり切れない気持ちを経験した方々もいることでしょう。・・・東芝の経営者は派閥抗争の圧力や経済界への見栄を背に、「徳義のない経営」、無茶な業績達成にダッシュしたところに悲劇が始まったのです。負の連鎖が何年も続けば、どんな大企業でも名門企業でも、即ちどんな大型船でもやがては難破します。
社会の内外の有識者が監査役の役割となり不正を見つけ、役員など人事を一新して再出発をさせることになったのです。「社員が活き活きと働き、投資家も安心して投資できる、優れた製品で社会貢献する企業」に再建させるのが、「徳義のある経営」です。大いに期待しています。
ありがとうございました。
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- 11:16
- comments(4)
- by 日比野満
会社形態にも変化が現れ、3・11以降、持続可能な社会構築と称してソーシャルビジネス、コミニーティビジネスが脚光を浴びて来ているのも、「徳義のある経営」を、求め目指しているのかもしれません。