点・線・面・体 〔千の78〕

 表題については、過去のコラムでも書きましたが、この数年の間に入社した若い社員の方々には伝わっていないだろうと思いますので、改めて書くことにします。この「点・線・面・体」は、物事を完成させるための手法とか生き方として、30 年程前、先人が教えてくれた大切な訓戒で、私は人生にしろ、建築にしろ、築くことにおいてこれは大変重要だと、今も幾つかの座右の銘の一つとして大切にしています。

 余談ですが、点と線と言えば今は亡き社会派推理作家の松本清張さんの昭和 33 年あたり〔私の高校時代〕の作品で、出世作であったと思います。一人の刑事が一つの点〔事件〕を不審に思い捜査を〔線〕としてつなげていくわけですが、一人の刑事の推理と根気が、事件を解決していくわけです。「つながる・つなげる」、点が線になることを表現した実に面白い小説であったと思います。


*『点々あい連ねて線をなす。・線々あい並べて面をなす。・面々あい重ねて体をなす。』

 点と点を連ねて一本の線をつくる。その線を並べていくと面になる。その面を重ねていくと一つの体になる。・・・と、百歳になられた論語普及会の伊與田 覺 師は、自らの目標に到達しようと思えば、このような生き方を貫いていくことが重要だと言っています。同じく師は、『至誠は息む〔やむ〕無し。息まざればすなわち久し。久しければすなわち黴〔しるし〕あり』・・通釈・至誠というものは、本気である。遊び心ではない。内から湧き出て止まる時がない。休まずずっと続けていると、それまで見えなかったものが見えてくるようになる。黴とは印、兆しのことです。・・誠実に、久しく物を続けることは、物事を完成する上で不可欠な姿勢なのです。・・確かに、上手とか下手、才能があるとかないと言ったりするレベルは序の序で、やり続けた者にはやはり私も誰しもかなわないと思えるのです。


*言わば、建築も点と線を連続させながら、面を意識し、構造や設備の機能を技術として織りなし、建築主の意向を活かしながら、バランス良く美しく構成するのが、品質の良い建築〔体〕だと思います。「点・線・面・体」の考え方を、建築と人生をつなげるものとして、若い方々に伝えておきます。なるほど、考えてみれば、至誠を貫いていれば、それを理解し、助ける人もまた出てくるものです。一人増え、二人増え、だんだんと広がっていき、厚みを加えていき、そして一つのものが体として完成していくのです。それが建築であり、人生ではないでしょうか。


*先日のコラム〔千の76〕「襟を正せ」でも書きましたが、またまた腹立たしいことを報道で知りました。一人の国会議員が誕生し、その政治活動を国が支援しているとすれば、2~3 億円の税金を必要とするのです。京都 3 区選出の宮崎謙介衆院議員〔35〕は、女性タレントとの不倫疑惑を週刊文春に報じられ、先週の国会は大混乱でした。

 これからの時代、男性議員も奥さんの出産に合わせて育児休業〔イクメン〕を取得するべきだと表明した議員で、国会議員の育休制度化について活動して注目されていたのです。

 その議員本人が、奥さんが入院した出産直前に、自宅マンションで女性タレントと一泊したとのこと、その後多方面からの不倫追及に、「身から出たサビ」などと自責の念を示し、議員辞職を表明したのです。自らの主張と軽率な行動の辻褄が合わないことなど、こんな軽い人間が、国会議員として国民の税金を受け取っていたなど、一国民として実に腹立たしく思います。

 

*『無信不立』という論語の教えがあります。・・・弟子の子貢が孔子に「政に大事なのは何ですか」と尋ねた。孔子は、「国民が十分に食べていけること。防衛が十分にできること。民が政治を信用すること。この三つが大事だ。」と、答えた。すると子貢は「やむを得ずして抜くとしたら、三つのうちどれから抜きましょうか」と聞いた。孔子は、「まず、兵をなくそう」と答えた。子貢は「もう一つ抜くとしたら、残りの二つのうちどれにしたらよろしいか」と尋ねた。孔子は「食糧をなくしなさい。信がなくなったら話にならん」と答えた。・・・要するに、政治を行う上で最も大切なのは「信」と言ったのです。・・・政治にかかわらず、会社経営においても最も大切なのは「信」すなわち信用のことを〔千の75〕で書いています。


ありがとうございました。


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