リーダーの器量 〔千の90〕

 熊本地震も前震・本震から 2 週間以上経過し、ようやく余震も落ち着きと言いたいのですが、まだ続いています。とにかくすごい記録的な大震災であったと思います。休校が続いていた各学校の授業も連休明けには半数以上が解消できるとのこと、大変良かったと思いますが、校舎の安全が今後の課題となると思いますが、全ての建造物において、復旧、復興のこと、今後何年も続くことでしょうが、「防災・減災」について、官民それぞれ次の災害に備えてほしいと思います。

*コラム〔千の60〕・〔千の64〕で、「不正の代償」について書いています。独フォルクスワーゲン〔VW〕の排ガス不正問題ですが、半年ほど経過し、今期は赤字 2000 億円で過去最大、今後不正対策に 2 兆円を計上するとのことを新聞報道で知りました。なんと「不正の代償」は超高いものにつくわけです。VWとは規模が違いますが、〔千の75〕で「襟を正せ」の中で書きました、食品不正のことで、産業廃棄物処理会社「ダイコー」は、その後事実上倒産状態のようです。食品会社の賞味期限切れ商品や、品質に問題ありの商品を廃棄処理するにあたり有料で引き受けたものを、転売するなどのインチキ不正もひどい話で、多くの食品会社は取引を中止したようで、経営は成り立たないのは当然です。こうした会社で事情を知らずに懸命に働いていた社員たちの、経営者への人間不信は当然で、残念無念の極りだと察します。

*広い社会の不信、〔VW・東洋ゴム・東芝・横浜のマンションによる杭問題と鉄筋切断・ダイコー〕などの不正余韻冷めやらぬ時、またまた三菱自動車の燃費データー不正問題の発覚です。技術開発による性能とデザイン、それらを総合するコストなどで各企業は競争するのが資本主義社会で、これこそが科学技術の進歩発展を促す大きな特徴であるわけです。しかし競争に勝てそうにないと思える時、データー不正などで逃げる技術社員、幹部社員はどういう心構えなのでしょうか。
 TVニュースでは社長や副社長が謝罪会見をし深々と頭を下げ、会社存亡の危機と表現していましたが、断腸の思いの事でしょう。大企業の機構の中で社長や副社長は現場のことは知らないかもしれません。知らなかったでは済まないのです。事の責任は社長にあるのが企業だと思います。社長に同情する気持ちも少しはありますが、不正をしない社風を築くことの司令塔の役割が社長だと思います。技術会社の社長は日々のこと、社内のどんなセクションにおいても不正をしない社風を伝統にすることをベースにした上で、グループ企業や下請け企業も含めた全社に徹底させ、その上で企業間競争を勝ち抜く方針を打ち出すのが、社長や副社長、各役員の重要な任務、「リーダーの器量」だと考えます。当然のこと今後は三菱と日産の軽自動車は売れなくなるわけで、生産の継続ができない時、部品会社など多くの関連会社の存続、働く社員の処遇、ユーザーへの補償問題など、大変な負の成り行きを注目したいと思います。

*表題について書きたいことは、上記の企業の社長や役員において、「リーダーの器量」として、残念ながらいかがなものかと思います。国も企業も家庭も、そこにどういうリーダーがいるかで決まるのです。どういうリーダーがいるかで、国、会社、家庭の浮沈、盛衰が左右されるのです。

*受賞報告・・・昨年の 2 月に茨城県神栖市内に完成した「土合舎利保育園」ですが、昨年夏に「キッズデザイン 賞」を、昨年末に「ウッドデザイン 賞」を受賞しましたことはすでに報告させていただいていますが、この度、「日本建築学会・2016・作品選集 200 選」に選ばれる栄誉をいただき、学会誌増刊号に掲載されました。うれしいことが続きまして、第 29 回茨城建築文化賞の発表が 4 月末にあり、「知事賞」を受賞いたしました。建築主や保護者の皆様と喜びを共にしたいと思っています。

ありがとうございました。

試練 〔千の89〕

 天は試練を与えて国家、自治体、企業、組織、その人々を試す。というのでしょうか。我が国の熊本や大分地方は今、未曾有の大災害の渦中にあります。新聞やTVニュースで知る範囲のことですが、10 日前までこの地方の方々は平和に楽しく暮らしていましたのに、天の試練とはやはりひどいと思います。前回のコラムでも書きましたが、前震・本震、そして余震が10日間も続いているわけで、これはたまらないと思います。
 改めて、不運にも亡くなられました御霊に心から哀悼の意を表します。また、けがで治療中の方々や、苦しい避難生活をされている方々に心からお見舞い申し上げます。

*過去にも何度か書きました聖書の一説ですが、『賢い者は岩の上に家を建て、愚かな者は砂の上に家を建てる』との教えがあります。誤解しないでください。倒壊家屋の皆様を愚かな者と言っているのではありません。多くの皆様は個人的に家を建てる時には、地盤の事まで考えて土地を選択して買うということは至難なことだと思います。それにしましても、大昔に書かれた聖書に上記のような教えがあるのです。今回の地震で倒壊した家屋には色々な要素が複合していると思いますが、先日も関連記事を読んでいますと、地盤の液状化などの記事があり、軟弱地盤の地域の倒壊率はやはり高いものと思います。

*個人の家屋にしましても、事業家のビル建設にしろ、公共建築でも、そこに必要として目的の建築を建設するわけで、現代の設計業務では軟弱地盤であっても、地質調査の上、地盤改良や杭を打設し、建造物に見合う基礎工事をするのは当然です。建築や土木の単価は地中の地盤の質によってかなりの差が出ますが、ここに注力し強固な地盤対策と基礎対策を施すのが設計者の責務と言えると思います。

*東日本大震災時の学校の体育館などでの、新聞やTVニュースによる苦しい避難生活者の声を思い出します。今回の地震においても学習は活かされていないように思いましたが、熊本地方はこれまでは地震のない地方で、大災害による避難生活者対策として備えられなかったのでしょう。

*避難所の生活が 2~3 日のことならさほどでもないのですが、 10 日も超えると確実に苦しい悲鳴が出てくるものと思います。それは、水や食料は何より大切ですが、同時に男女別トイレが衛生的であること、特に着替え等女性の確実なブースの確保などや、保健室が近いことです。次に老若男女において、幼児から 70~80 歳のお年寄り、在宅介護を受けているお年寄り、認知症の出ているお年寄り、さらに肢体不自由な方々や発達障害者などが、学校の体育館で一緒に避難生活をするのには大変無理があると思います。

*これらのことは、日頃から地域社会において、お年寄りの避難所、肢体不自由者や発達障碍者の避難所、妊婦さんや幼児のいるご家族の避難所など福祉避難所を、それぞれ配置の分別を行政で組み立て、人々が選別できることを地域社会で申し合わせをしておくべきかと思います。

*ともあれ、日本の国土は度々ある天の無情な言語を絶する試練において、これまで、国家、自治体、企業、組織、個人は助け合い励ましあいながら、乗り越えてきました。この度も、自衛隊、各県の警察機動隊や消防関係者、そして各県の医療団などの支援は見事です。熊本、大分地方の皆様、なにくそ ! 負けるものか !  日本人の不屈の底力、勤勉性、どうかこの天の試練・困難を乗り越えてください。

全国の皆さん、支援・応援の輪を広げましょう。・・・ありがとうございました。

有事の備え 〔千の88〕

 この度の熊本県・大分県内で起きた地震において、不運にも亡くなられた方々の御霊に心から哀悼の意を表します。同時に御遺族の方々や現在けがで入院中の方々、避難所で苦しい避難生活をされている方々に心からお見舞い申し上げます。
 
*以前から私は自然の猛威による災害について、「有事」は必ずや起きるとして、備えることをコラム等で呼びかけてきましたし、職業柄も「防災・減災」について、担当する建築設計業務において、きめ細かい配慮の姿勢を貫いてきました。地震発生から五日間経過しましたが、まだ余震が続くと専門家が言っていますが、ここで報道等による要点をまとめておきたいと思います。

*熊本県で 14 日夜に最大震度 7、M 6.5 を観測した地震は、最も揺れの激しかった同県益城町を中心に建物の倒壊が相次ぎ、熊本県や県警によると、9 人が死亡、けが人は 1千人を超えた。との報道で、九州は私の知る範囲では大きな地震は戦後 70 年は無かったわけで、「阪神大震災」を上回る揺れとは、これだけでも大変なことが起きたと思っていたのです。
 それがその後も余震はありましたが、16 日午前 1 時 25 分ごろ、震度 6 強、M 7.3 が起き、これが「本震」で 14 日のが「前震」との気象庁見解が発表され、こんな地震の起き方に大変驚きました。気象庁によると、17 日午後 9 時現在で、震度 1 以上の地震は、478 回、震度 3 以上は 38 回に上ったとのことですが、熊本市周辺だけでM 3.5 以上の地震だけで 165 回となり、「阪神大震災」以降に内陸や沿岸で発生した地震の中では最多となったとの報告です。
 18 日午後 9 時現在の報告では、・死者 43 人 ・安否不明者 9 人 ・負傷者 1114 人 ・避難者熊本大分両県で 9 万 4173 人 ・建物損壊熊本大分両県で 3449 棟〔全壊 953 棟〕 ・九州新幹線運転見合わせ ・熊本空港ビル閉鎖〔19 日の東京発便から一部受け入れ〕 ・停電 2 万 5600 戸 ・断水熊本大分両県で 18 万 6391 戸 ・西部ガス供給停止 10 万 5000 戸 など、それにしましても、電気、水道、ガスなどのライフラインの断絶、復旧の遅れについては、人々の生活をどれほど苦しめることか、今後どこで起きるかの災害において大きな課題です。

*我が社ではこの 10 年程で、九州各地で 10 件のプロジェクトを担当し完成させました。この内、熊本市内で 1 件、大分国東市内で 1 件ありました。建築を担当することは、我が子を旅出させたようにいつも思っていますから、丈夫に育てたとの確信がありましても、大きな災害がありますと、災害地と担当したプロジェクトを照合する意識が働きます。今回の地震では早々に連絡し無事であったことを確認できました。本日、飛行機が飛ぶとのことで、早速役員がお見舞いに参上いたしました。

*報道による範囲ですが、熊本市民病院が倒壊の恐れがあるとのことで、入院患者を他の病院に搬送することになったとのこと。また、宇土市庁舎が倒壊したことをTVの映像や新聞の写真で確認しました。記事では 10 年前に耐震診断を実施したところ、震度 6 で倒壊する危険があるとの専門家の報告書が出されていたようで、この 10 年間で何も対策を実施していなかったとは、これはいかがなものかと考えます。予算が無かったですむことでしょうか。「前震・本震」共に深夜のことで、職員が執務中であり市民が来庁していた昼間だったら大惨事になっていたと思います。私たちもこの 20 年、沢山の耐震診断を依頼され、建築主に報告しています。診断のデーターに基づいて補強とか建て替えを進言してきました。

*論語の勉強です。『子曰わく、人、遠きを慮〔おもんばかり〕なければ、必ずや近きに憂い有り』
通釈 : 孔子が言った。我々人間において、時間的にも、空間的にも、遠く、広く、しかも深い気配りをしなかったなら、必ずや、身近に憂いごとが起こるものである。・・・2 千 500 年前の孔子の教えが、現代のことを言い当てています。建築設計でも、行政でも人々のために思慮深く、「備えあれば、憂いなし・有事の備え」のことで、手を打てることは確実に実施することだと考えます。

ありがとうございました。


 

朋〔とも〕有り遠方より来る 〔千の87〕

 『子曰わく、学びて時に之を習う。また説〔よろこ〕ばしからずや。朋〔とも〕有り遠方より来る。また楽しからずや。人知らずしてうらみず。また君子ならずや。』・・以前に学んだ論語で何回かコラムにも書きましたが、私の好きな一説です。
 
*通釈 : 「孔子が言った。学問をして、その学んだところを復習できる機会を逃さずに、何回も何回も、繰り返して復習すると、学んだところのものは、自分の真の知識として完全に消化され、体得される。これはなんと喜ばしいことではないか。このようにして知識が豊かになれば、道を同じくする友達が、遠いところからやってきて、学問について話し合うようになる。これはまた、なんと楽しいことではないか。しかし、いくら勉強しても、この自分をみとめてくれない人が世間にはいるもの。そうした人がいたとしても、怨まない。それでこそ、学徳ともにすぐれた君子ではないか。」

*去る 4 月 11 日〔月〕午後 6 時から大会議室で、「新入社員歓迎会と新社長及び新役員就任祝い」〔幼児の城ブログで既報〕を 50 名で開催できました。「朋有り遠方より来る。また楽しからずや。」という一説の通り、美味しい料理を作ってくれる方々に来社いただきました。日頃仕事を共にする社友の皆様が大勢駆けつけてくれ祝ってくれました。今年の新入社員の 4 名は、当社でインターンを経験し、何としても当社で働きたいという若者たちです。特に 2 名の中国人はまさに遠方から来る人財です。

*「学問をして、その学んだところを復習できる機会を逃がさずに、何回も繰り返して・・・」の一説については、私達の設計事務所は「幼児の城」や「福祉研究所」として、子どもの施設や老人施設などに特化した活動を続けてまいりました。「幼児の城」ではすでに 350 園舎を超える担当をしましたし、「福祉研究所」では特別養護老人ホーム等で、2000 床ほどのお手伝いができました。

*「知識が豊かになれば、道を同じくする友達が、遠いところからやってきて、学問について話し合うようになる。これはまた、なんと楽しいことではないか・・・」の一説については、実績を積み重ねていると、色々な社会の賞をいただいたり、国内外の雑誌に掲載いただくことにもなりました。幼児の育成や教育に心意気をお持ちの遠くのお客様や、同じ道を志す学生さんが来社くださり、大いに語り合い、また実際の施設で、溌剌とした子たちの生活や、保育や教育関係者の働いている姿を視察いただきました。これ実に楽しいことです。

*先日、新入社員 4 名に激励する機会がありました。下記のような話をしました。
 『建築の設計監理は、農耕型の仕事です。対極の狩猟型ではありません。農耕型とは、土を耕し、種を蒔き、水をやり太陽の光をもらい、除草し、刈り取りまでコツコツ育成するのです。まさに、調査設計、基本設計、実施設計、許認可、工事監理から完成まで、農耕型の業務です。・・人の能力にそう大きな差はありません。むしろひたむきに、愚直にコツコツと努力した人が人生の勝者になるのです。「創造と提案」は、コツコツと努力する自分のスタイル、生き方を貫く中から誕生すると私は考えています。』

*受賞の報告・・・「幼児の城ブログ」をご覧ください。
 アメリカのメディア「A+AWARDS 2016」で、「はなぞのこどもえん」が幼稚園部門で入賞しました。2015-04-25・コラム〔千の32〕「嗚呼・宮古島・・感じる園舎」で竣工式のことを書いています。

ありがとうございました。
 

働くということ 〔千の86〕

 何年前でしたか、京セラ名誉会長・稲盛和夫さんの話に、「与えられた仕事を天職と考える」がありました。要点を書いてみます。『一生懸命働くことが、人生を素晴らしいものに導いてくれたのです。働くことは、まさに人生の試練や逆境さえも克服することができる「万病に効く薬」のようなものです。誰にも負けない努力を重ね、夢中になって働くことで、運命も大きく開けていくのです。人は得てして、恵まれた環境にあっても、与えられた仕事をつまらないと思い、不平不満を口にします。しかし、それで運命が好転するわけではありません。与えられた仕事を天職と思い、その仕事を好きになるよう努力し、さらに打ち込むのです。そうするうちに不平不満は消え、仕事も順調に進むようになっていくはずです。そして、さらに懸命に働き続けていくことで、すばらしい考え方や人格を自分のものにすることができ、結果として物心ともに豊かな人生を送ることができるのです。』・・・いい話でしょう。この話を 5 年前の我が社の入社式に話の要点を使わせていただきました。そうなんです。私は創業以来「物心両立」を掲げて働いてきました。
 自分の仕事に誇りを持って、どんな困難に直面しようとも、誰にも負けない努力をいつも明るく前向きに重ねれば、人生は必ずや豊かで実り多いもの、即ち「物心両立」を実現できるということです。第一線を引退しました 75 歳の私が、このことを、今を生きる若者に伝えるのが責務であると思っています。

*毎年の新入社員研修で話してきました講義の中で、自らもこれは最も大切だと、思い続けてきた要点の三つを書いておきます。

*講義の第一は、論語の引用です。「知・好・楽」・・・建築のこと、最初は何でも知ろうとすること、学ぶことが大切です。次はそれ以上に建築を好きにならなければ、知った意味がありません。建築のこと、仕事をすること、即ち、「利他の心」をもって人々のために働くことが、こんなに面白くて楽しいものかという段階までくれば本物です〔20年はかかるかな ?〕。目標を持って歩んでください。

*講義の第二は、「不思議の勝ちを演出する」・・・勝負の世界でよく聞く話で、「勝ちに不思議な勝ち在り、負けに不思議な負けなし」というものがあります。失敗には必ず原因があり、分析して反省し、次に活かす生活習慣を築くことです。企業には「不思議な勝ち」で成功を収めているところが多く見受けられます。私はこれを「目に見えない信用」を築いているからだと思っています。例えば、プロポーザルで最終案に二つ残ったとしますと、実績とか伝統とか所属する役員・社員の人物力とかで、最終的には、総合信用のある方が選ばれるケースはままあると思います。個々人・会社共に信用を築くことが大切です。

*講義の第三は、「積善の家、必 有余慶」・・・小さな良きことを積み重ねる生活姿勢が大切で、こういう個々人や会社には、必ずや喜びや幸せがあるということです。私たちは福祉施設の仕事をしていますが、仕事でも私生活でも、善の積み重ね、これこそ福祉に携わる者の生き方です。まずは身の回りの方々に気持ちよくなっていただく、「喜びの種を蒔く」親切運動から始めたいものです。

*働くということはなんと楽しいことか・・・ありがとうございました。

平成 28 年度入社式 〔千の85〕

 平成 28 年 4 月 1 日、ようやく桜も開花し新入社員を迎えるのにふさわしい日となりました。入社式はこの 40 年、一人でも二人であっても、きちんと全社員が集まって心ある式典を執り行ってきましたが、今年は先に報告させていただきました新生、一新・日比野設計として新社長始め新役員が前列に並び、新入社員に辞令を交付いたしました。今年は日本の大学院と専門学校を卒業した二人と、中国から日本の大学に留学し大学院を卒業した者と、中国の大学を卒業した者、4 名が入社いたしました。外国人が 2 名入社するのは異例のことですが、中国市場の将来性を展望してなどの大げさなことではなく、これらの若者が我が社で実力をつけ、人物を磨き、お客様に対する我が社の取り組み方、建築に対する姿勢を身につけてくれれば、小さな一歩であるけれども、日中の懸け橋になってくれるだろうと期待するところです。〔千の83〕でも書きましたが、中国でも「少子化・高齢化」社会で、コツコツと身につけた実力は、どちらの国であっても、社会のため、人のために役に立つことでしょう。毎年の事ですが、若者が夢中になって建築に取り組み、先々、担当した建築によってお客様と感動を共有できるように、私は今年も 4 名の若者に充実成長を大いに期待しています。これから三日間、各役員が講師となり、体験や知識、奥の深い話を新人研修として伝えてくれるものと思います。伝えるのも「至誠」、学ぶのも「至誠」です。
 さて、新社長・日比野 拓の挨拶が中々の内容なので、記録しておきたいと思い、要約を書いておきます。

*夢と希望に満ちた君へ
社会人としてのスタート、そして入社おめでとうございます。
私達は役員、社員全員で貴方を社員として迎え入れることを嬉しく思います。

皆さんは、これから仕事を通して社会貢献していきます。
社会貢献って、とても素晴らしいことです。
誰かの笑顔のために、自らの知恵や知識と時間を使うのです。
そしてそれが誰かのためになった時に、貴方は「ありがとう」と言う言葉を受け取るでしょう。
そしてその時に大きな感動を覚えるでしょう。
それが私達が日々行っている素晴らしい仕事であり、
それを貴方とともに共有したいと思っています。

しかし道のりは決して平坦ではありません。
大小様々な山や谷が待ち受けています。
それから逃げずに、向き合っていけるかが貴方の人生を大きく左右します。
勿論、貴方ならきっとそうした山や谷を乗り越えるでしょう。
そして、乗り越えた人にしか見えない、
その先の景色をいつか見ることができるでしょう。

平坦な人生なんて面白くない !
常に挑戦することを忘れずに、今から一歩ずつ歩き始めましょう。

*若者よ・・飛翔しようとする初々しい心意気〔原点〕を、いつまでも持続してください。

ありがとうございました。

三つのつくる 〔千の84〕

 今、2010 年の「下町のロケット」で直木賞を受賞した池井戸 潤の「七つの会議」集英社文庫本第一刷を読了しましたが、これまで 45 万部を超える売れ行きのようです。

 昨年の「下町のロケット」のTVドラマも十分楽しむことができました。事実とフィクションの織り成す構成が作家や脚本家の筆力だと思いますが、私も小さな会社ですが長く経営しましたので、人間の機微に触れる感動や悲観など度々経験したことを思い出しました。

 さて「七つの会議」のことは、題材は違いますが昨年来の企業不正に通じることで、担当者がコストダウンによって業績を上げ出世しようとすること、コストダウンは製品の質〔強度〕を落とすこと、部品の下請け会社を泣かすことにつながるが、これを強行する。やがて製品の不良が消費者から届き始める。それぞれの関係者、特に部課長など幹部が知る。正々堂々と早期リコールを公表し改修や回収に動くか、リコールの公表は保身と同時に大企業の子会社である中小企業として、会社存亡の危機と苦悩するわけです。社長や一部の役員は隠蔽して逃げ切ろうとする。やがて不正は内部からジリジリと広がるのです。虚飾の繁栄か、真実の清算か・・・強度偽装に気づく時・・・社員間、役員間の確執や正義感も含めて、親会社も巻き込み大きな問題に発展するわけです。・・・また読んでみてください。

 例えば・東洋ゴム・東芝・横浜のマンションよる杭問題と鉄筋切断・ダイコーによる食品不正など、これらの会社の内部でもあったことだろうと思わせる似たようなことを、よくもここまで、読者の興味を引き込む小説として書けるものだと、池井戸 潤の筆力に驚くばかりです。

*それでも作者の良心だろうか、苦悶する正義感のある一人の役員は、就職前の学生時代、田舎で父親が小さな商売をしていたことを回想して、亡き父親のアドバイスを思い出す場面があります。

 『仕事とはどういうもんか・・・一つだけ言うとくけど・・・その時父は言った「仕事っちゅうのは、金儲けじゃない。人の助けになることじゃ。人が喜ぶ顔を見るのは楽しいもんじゃけ。そうすりゃあ、金は後からついてくる。客を大事にせん商売は滅びる』。・・・この言葉は役員の胸の深いところに沈み込んでいた。・・・不正など生まれる企業ではいけない。

*想えば、NHK朝ドラ「あさが来た」は来週が最終章ですが、時代背景は幕末から明治時代、成功した女主人公「あさ」〔実話・炭鉱経営・銀行経営・生保経営〕が、「一生一事一貫」を貫いたモットーはお客様のためになることで、稲盛 和夫さんの「利他の心」、近江商人の三方よし〔買い手よし、売り手よし、世間よし〕の商訓に通じるものでした。

*これこそ我が社が続けてきた 45 年間の朝会議で、折々に話し続けてきた基本です。我が社のみならず、どんな職業の企業でも共通するものだと確信します。

 建築設計において、設計者だけが満足するような仕事ではいけません。「私たちの若い頃は著名な建築家も含めて誰もが、何かカッコイイものをつくるぞという風潮があったのは事実です」しかし、今はこういう建築家は減ってきたように思います。人々のための建築を設計し、お客様に喜ばれ、工務店の皆様も工事をまとめた満足感があり、様々な材料メーカーも商品を供給した喜び、同時に職人さん達も自分が手掛けたという心意気など、関係者皆が自信を持って思い出に残る仕事でありたいものだと思います。私は 30 年も前から、工事完了後、プロジェクト関係者の建築同窓会を、10 年後、15 年後に開けるような「絆」が生れているのが理想と思い続けてきました。・・・どこからでも、何からでも学ぶということからすれば、小説からも学び得たわけです。私は先日、会社の新役員達に「三つのつくる」を託しました。

*さて、表題の事で新役員に私の希望と期待を込めた、「三つのつくる」は下記の通りです。

一つ、人をつくる。・・・若い社員を育成してください。若い社員は会社の次代を担う人財です。技術、デザインの充実と同時に人物を磨く育成を共存させてほしいのです。

二つ、建築をつくる。・・・我が社の役員はプレイングマネジャーです。自らもチーフとして良質な建築設計を創ることに携わり、常にお客様に接するのです。

三つ、会社をつくる。・・・上記の二つと共に大切なこととして、会社はサスティナブル〔経営持続〕であることが大切です。お客様の建築を創り続けることと同時に、守り続けることが大切です。そのためにはまず、社員及び社員の家族共々「物心両立」ができる生活基盤を確立することで、それでこそ大いに働けるのです。長期安定して経営持続するためには、「入りを図り、出を制する」財務内容の充実が大切で、これこそが社会の中での「総合信用」を確立することです。

ありがとうございました。


新体制でスタート 〔千の83〕

 昨年から私のコラムで、『平成 28 年〔2016〕は、日比野設計が創立 45 周年になります。おかげさまで、順調にここまで歩むことができましたことは、多くのお客様や関係者の応援をいただいたからで、その感謝とお礼の気持ちを度々書かせていただきました。改めて「ありがとうございました」。』

 「機を活かす」〔千の77〕・2016-02-07・や他のコラムの折々に、日比野設計も新生日比野設計として若返り、さらなる経営持続〔サスティナブル〕を図り、「至誠天に通ず」の心意気で、社会貢献を続けることを目指したいと述べてきました。


*平成 28 年 3 月 14 日〔月〕・午後 2 時から臨時株主総会を開催し、新役員が承認されました。新役員の顔ぶれは「幼児の城ブログ」で、当日報告させていただいていますので、ご確認ください。平均年齢 40 歳の若き面々ですが、「お客様と社会に貢献」してくれるものと、私は確信していますし、大いに期待しています。広く社会の皆様、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。


*さて、昨年〔千の68〕「サスティナブル」・2015-11-29・のコラムで、「サスティナブル経営」について、三菱総合研究所 理事長 小宮山宏氏〔元第28代東大総長〕の下記の意見に賛同したことを書きました。

 『社会的な課題に企業もきちんと対応しなければ、サスティナブルではない。今はそういう時期に入っていると私は考えています。ただし、そのことに気が付いていない企業もまだ多いのが現実です。社会的課題はビジネスにとってはニーズです。社会的課題にきちんと対応し、早期に解決していくことで、新たな需要、新たな経済活動、新たな産業を創出していくことができます。そういう意味では社会的課題をいち早くとらえ、課題解決に真剣に取り組むことは、企業にとって生き残るために必要なことなのです。』・・・確かにその通りです。社会には様々な課題が山積しています。企業の「特質や規模」によって、求める課題の受け止め方が違うのは当然です。しかし、この課題対応にミスマッチであると、その企業や集団はギブアップすると考えます。


*日本のバブル経済崩壊した平成 2 年〔1990〕頃から 10 年間は、どの企業もなりふりかまわず仕事探しに躍起になっていました。18 年かかって日本の景気も立ち直ったかなと思ったところに平成 20 年〔2008〕アメリカ発の「リーマンショク」というアメリカ経済のバブル崩壊の影響が日本を直撃したのです。政治・経済とも社会は大混乱が続きました。自民党が社会党と連立政権を組むなども驚きでしたが、長く続かず、民主党政権になり首相は鳩山・菅・野田の三代のあと、自民党政権に戻りましたが、この 26 年間、新聞や雑誌、TVなどに、日本は先々人口減であり、「少子化・高齢化」社会になるなどの記事が、多く掲載されるようになったと思っています。


*この 26 年間、広い社会には数えきれない様々な課題が山積していました。5 年前の東日本大災害からの福島・宮城・岩手各県の災害復興は当然です。いつ起きてもおかしくない、東京直下型地震や南海地震等に対する防災・減災の備えも必需です。


*私は「少子化・高齢化」の対策こそ、我が社が適切に対応する課題だと取り組んできました。「少子化だから子どもの施設が少なくなりこの領域の仕事が減る」のでは、という心配をしてくれる方々もいました。『少子化の問題点は何か。社会は男女共同参画社会となり、共働きが当たり前の社会になりました。女性の社会進出は素晴らしいことで、女性の活躍は見事だし、現代において女性の活躍無しに社会は成立しないと思っています。半面子どもを産み育てにくい社会になったことも事実です。ならば安心して子どもを産み育てる社会にしなければなりません。若夫婦が安心できる良質の子どものための環境創りが必要です。それは保育士の所得を上げ、労働環境の整備をすることと、良き成長のための良質な保育園を増設することです。

 最近「保育園に落ちた・日本死ね」などの過激な意見がネットに出て、国会でも取り上げられました。与野党も保育園増設については、前向きに取り組むとのことですが、「入れればよいとか、預かれればよい」程度の園の増設には反対です。良質な子どものための保育園、保育士が働きやすい保育園の増設が必要だと思います。』

 『高齢化の問題も深刻です。「老人漂流社会」「老後破産・長寿という悪夢」「下流老人」などの本が売れています。経済雑誌も老人問題を特集する記事が多くなってきました。毎年建設しても特別養護老人ホームが足りないのです。今、団塊の世代の方々が、入居をしたいと希望する時代になりました。お年寄りは若い頃から大いに働いて、日本の社会つくりに貢献してきたのです。「ごくろうさま」と、快適な「終いの住まい」で余生を過ごしていただきたいのです。』

 『子ども達がすばらしい保育士や先生方に育てられ、良い施設で伸び伸び生活すれば、子ども達は素晴らしい成長を遂げ、少年から青年になり、成人となってまた日本の社会創りに貢献するでしょう。成人した大人も大いに働いてやがては老人になるでしょう。希望すれば快適な「終いの住まい」で余生を過ごせるなど、誰でも来た道、通る道すじを確り創り支えるのが文化国家だと考えます。』


*新生日比野設計及び日比野設計技術は、上記の事柄の社会課題に挑戦します。最近中国の仕事も引き受けています。中国も日本同様に「少子化・高齢化」社会を歩み始めています。国家は違っても人間の尊厳は同じです。私たちのノウハウがお役に立つのなら、微力ですが協力をさせていただきます。 さて、私は相談役として、これからも月に 2~3 回は出社しますし、社長として 5 年、日比野設計の充実発展に貢献した安藤 達郎は会長に就任します。私達はこれからも日比野設計を後方から支えるつもりです。今後ともよろしくお願いいたします。


ありがとうございました。


徳に基づき 〔千の82〕

 3 月 11 日・午後 2 時 46 分、あの大災害・東日本大震災から 5 年です。この 2 週間は新聞やTVなどは災害特番が続いていましたので、多くの方々は悲しみを共有したものと思います。なんと、亡くなられた方々と行方不明者が 2 万 千 人を超えるとのこと、亡くなられた御霊に心からご冥福を祈ります。同時にご遺族の方々の悲しみに心からお見舞い申し上げます。

 それにしましても、東京直下型地震や南海地方の地震などが、地震等の専門家の先生方がいつ起きてもおかしくないなど、警戒することを伝えてくれていますが、教訓を活かす防災・減災について、行政、建築・土木の専門家、そして全国民は心するべきだと思います。

 それにしましても、私は建築の専門家として、災害直後の仮設住宅についての問題点を感じます。足りないとなると早くどんどん造れと言うことも当然だと思います。しかし、短期の仮設住宅であるはずが、未だに復興が遅れ、何千戸という仮設住宅で希望も持てずやむなしの生活で我慢している方々がいるわけです。均質化された仮設住宅で、狭い、寒い、結露、カビなどの不快な生活が続いているのです。足りないとか、急ぐなどの要請に対して、「画一的・均質化」したものを当たり前として供給してきたことに、大変困難な問題ではありますが、私は疑問を感じているのです。

 災害でもない待機児童対策や待機老人対策などで、足りないからプレハブでもなんでもよい「均質化」したものを早くどんどん供給する社会になってしまう危惧を心配するのです。何事においても、豊かな社会においては、広く人々の個性を重視する「時間・スペース・空間」を大切にする社会であってほしいと考えます。


 さて、表題について、月刊誌「致知」で、長年毎月交代で、「巻頭の言葉」を担当している 稲盛 和夫氏・鍵山 秀三郎氏・牛尾 治郎氏・中条 高徳氏の各先生方が述べることに、なるほどごもっともであると毎月感動しているのですが、述べられていることで、[人生の大則」と言える共通のことを最近感じています。それは、「徳」を身に付けることではないか、と、この頃受け止めています。


*稲盛 和夫氏は、『経営はトップの器で決まる・企業を発展させていこうとするなら、まずは経営者が人間としての器、言い換えれば、自分の人間性、哲学、考え方、人格というものを、絶えず向上させていくよう、努力を重ねていくことが求められるのです。しかし近年、日本ではそのようなことを理解する経営者が少なくなっています。少しばかり事業で成功を収めただけで、謙虚さを失い、傲岸不遜に振る舞い、私利私欲の追及に走ることで、せっかく手にした成功を失ってしまう経営者が続いているのです。いまこそ賢人、聖人たちの知恵に学び、「徳」ということの大切さを改めて理解することが大切です。単に一つの集団の発展を導くのみならず、荒みいく日本社会の再生にあたっても、大きな貢献を果たすのではないでしょうか。』・・・さすがに稲盛さんの言葉には実績と共に説得力があります。


*会社の経営者や役員、プロジェクトのリーダーだけではなく、学校の教師、部活動の監督やコーチ、主将など人の上に立つ者皆が心すべきことだと思います。


*私の書いてきた 1000 編のコラムで、基本的に掲げていることはやはり「徳」で、建築設計者として、業務を推進することにおいて、最も大切な心の在り様と考えてきました。我が社の社長はじめ役員社員は皆「有徳人」とお客様や関係者から評価いただきたいといつも願っています。・・・過去に下記のような「徳」について書いています。

・07-09-08 〔第219回〕・「徳と集団」

・07-10-07 〔第233回〕・「母の徳」

・08-03-19 〔第314回〕・「徳は得なり」

・09-03-20 〔第462回〕・「徳と人物」

・11-04-16 〔第712回〕・「徳に基づき・・・」

・14-11-08 〔第999回〕・「人に長たる者の人間学 その3」で「徳」について


*「徳は得なり」では、「徳」というのを平たく初歩的に言うと、人間が自然から与えられているもの全て。即ち、得たるところのもの、みな「徳」だ。天から、自然から、親から生んでもらって与えられたものみな「徳」という。だから「徳は得なり」ともいう。

 また植物論で言えば、「玄徳」のことを根。だから人間学を確り養い〔太陽や水、肥料〕、芽が出てきたらこれを良く世話をして〔太陽や水、そして雑草を除去し〕育て美しい花を咲かせる。これを明らかにするという意味の「明徳」という。

 「徳と人物」においては、まず、両親の「徳」に触れ、親孝行として「徳」のお返しをしてほしいと書きました。お返しは高価な物ではなく、「心」の温かい言葉からはじめるのです。両親に対し「ありがとうございます」から。


*感性を磨いていくと、お客様や友人の「徳」に触れ、感動をいただく最高の人生を歩めるようになると思います。・・・因みに、私が業務を始めてからこれまで、多くのお客様や関係者から「徳」をいただき、大変幸せです。最初にいただいた「徳」による感動は、湘南やまゆり学園の前理事長・小山 昭雄 先生です。昭和 50 年代から茅ヶ崎市、伊勢原市、横浜市の 3 市内に 8 園舎を経営され、常に 2000 名を超える子たちを教育されています。全ての園舎の設計を担当させていただき、学園の充実発展のお手伝いをさせていただきましたが、先生は私利私欲なく、視野は全て幼児教育のことで、「三つ子の魂 百まで」と、「国家の人づくり」は幼児教育から始まるが信念で、「有徳」の哲人・賢人です。「日比野設計の設計図は心で描く」と、ある書に書いていただき、感激したことは忘れません。弊社の「幼児の城」の原点は、ここから始まったのです。湘南やまゆり学園さんは今年創立 50 周年とのこと、誠におめでとうございます。小山 昭雄先生は 80 歳を超えられましたが、今後も健康長寿で、まだまだ広く社会に意見していただきたいと思います。


*来週の 3 月 14 日に、弊社では臨時株主総会を開催し、新社長はじめ新役員が決まります。ここまで、安藤 達郎社長が社業の充実発展に貢献されました。今後は会長に就任する予定です。新生日比野 設計は「有徳集団」として、さらにお客様と社会に貢献する所存です。

 広く社会の皆様に今後とも、ご支援ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。


ありがとうございました。


熱意・誠意・善意・創意 〔千の81〕

 私のコラムも最終段階で、ここまで書いてきたことに色々と感慨があります。これからの 20 回は創業から 44 年間の思い出や、コラム 1000 回の中から、自らもこれからこうありたいと願うことに通じることを拾い出し、改めて勉強したいと考えております。

 表題のことは、創業の時掲げた目標で、今でいう社是というものです。私が 30 歳の時、昭和 47 年〔1972〕に会社を設立し、6 畳一間の 1 Kのアパートを事務所にして、希望を抱いてのスタートでしたが、建築設計・監理の受注促進と同時に、業務を推進する姿勢を掲げる必要があると、会社の体をなしていない段階に掲げたことに、今、想えば青臭いとも思えますが情熱の塊だったのです。


*考えてみれば、人が仕事を成し遂げようとするためには、欠かせないもので、一人ひとり個人的にも、会社としても大切なことで、それが『熱意・誠意・善意・創意』ではないでしょうか。


*『熱意』のないところには何物も生まれないと思います。以前にも引用したことのある、パナソニックの創業者 故 松下 幸之助翁が言っていることに「二階にのぼりたいなぁ~、ではまだまだだめである。なんとしても二階に上りたい。そんな『熱意』がはしごを生み出す」「二階にのぼりたいなぁ~」とは誰もが思う。しかし、その程度の思いでは二階にのぼることはできない。「なんとしても」という熱い思い、たぎるような思いがあって初めて、二階にのぼるためにはこうしたらどうか、ああしたらどうかと夜も昼も考えを詰めることができ、『はしご』という手段とか方法に思い至るのである。

 上記のことは松下語録ではあるが、誰しもがこんなことに出会ったことがあると思います。要は、「一事一貫」して徹底しただろうか ?  徹底することで、そこに求めようとする成果が見えてくるということです。


*月刊誌「致知」の編集長が、12 年も前に似たようなことを書いていたことを思い出しました。この「『熱意』と車の両輪をなすもの、それが『誠意』である。人間、情熱だけで突っ走ても、それなりにうまくいきますが、しかし、それはあくまで一時期である。人間としての誠実さを欠くと、必ずどこかで崩れる。歪んだ結果しか手にできない人生になりはしないか。・・・なるほど私も賛同するところで、『熱意』だけでは片輪で、『誠意』と共に両輪ということです。『誠意』とは〔千の71〕「至誠」などや、他の私のコラムで何回かで書いていますからまた読んでください。


*『善意』とは私のコラムで度々書いていますが、「恕」とか「利他の心」と同義語で、お客様に対して尽くすのは当然のこと、スタッフや社友の皆様、お世話になる建材メーカーの皆様や工務店の方々に対する労いの心のことです。仕事を推進する心の基本的なベースに、『善意』がなければならないと思います。


*そして、『創意』である。絶えず創意工夫する。昨日よりは今日、今日よりは明日と常に前進するために、ああしよう、こうしようと考え続ける。そこに仕事の飛躍が生まれる。ここでよく考えてほしいことは、『創意』の基になるのは知識・教養であるわけで、そうした基礎の勉強を幅広く積み、発展させていくところに充実した『創意』が生まれると思います。

 

*因みに、元経済企画庁長官・故 野田 卯一〔岐阜県出身〕先生が、40 年程前、『創意躍進』という書を私が正座する前で揮毫くださり、「君が建築設計で起業したことを祝す・頑張りなさい」と、激励を受け感動したことを昨日のことのように記憶しています。この書を装丁した額が自宅の和室に掲げています。


ありがとうございました。


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